コロナ禍で女性の自殺が激増している問題 (2021-01-18)

コロナ禍で女性の自殺が激増している問題

 新型コロナウイルス感染の第3波が拡大するなかで悲しいことが起こっています。それは自殺者の増加であり、特に女性の自殺者が激増しています。警察庁の発表では昨年10月の自殺者数は、2153人と前年同月比39.9%増加(速報値)しています。

 特に女性の自殺率が急増しており、昨年8月に前年同月比42.2%増を記録した後に、10月には82.6%の大幅増加となっており、コロナ禍が女性の暮らしを直撃したことを証明しています。
 
 女性のなかでも40歳代の自殺が142人と前年同月の約2倍にまで増加しています。新型コロナウイルスの影響が長期化する中で、収入の減少や育児や介護それに家庭内の問題などが深刻化しているものと思われます。

 この件に関して厚生労働省は「自殺はその多くが追い込まれた末の死であり多くが防ぐことができる社会的な問題である」と対策を講じることを表明しています。

 国税庁の民間給与実態統計調査(2018年)によると、日本の給与所得者数は5026万人でその41%が女性です。しかし女性の平均給与は293万円と男性の54%にとどまっており、非正規雇用の比率も男性12%に対し、女性は39%と高い水準となっています。

 加えて正規雇用であっても、結婚・妊娠・出産等で退職してしまうと、非正規以外ではなかなか復職できないシステムも問題となっています。職域も人との接触を伴う医療や福祉、小売り、飲食サービス業など感染リスクにさらされる産業に偏る傾向がみられます。コロナ禍で圧倒的な「心理的負担」「経済的負担」にさらされ自殺者が増えていると推測されます。

 2度目の緊急事態宣言では飲食店がスケープゴートにされてしまっている感が強いですが、最近の統計によると会食より家庭内感染が圧倒的に多くなってきています。もちろん最初は会食によって持ち込まれたものが家庭内で広がった可能性はあると思いますし否定はできません。しかし市中にこれだけ拡散したものをもはや飲食店の時短営業で抑制できるとは到底思えません。

 女性の働く割合が高い飲食サービス業にこれ以上ダメージを与えない事が自殺者を抑制するためにも必要であると思います。

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