いわゆる「口コミサイト」について (2021-10-25)

 久しぶりのブログ更新となります。コロナ禍で学会も現在ほとんどリモート開催になり、加えて緊急事態宣言で長らく外出もできないためこれといって筆をとりたい話題もなく、もうコロナの話をするのもうんざりといった心境でお休みしておりました。

 現在どうした理由かわかりませんがコロナ陽性者数が激減し、一時的に平穏な世の中が戻ってきています。先週あたりから街も活気を取り戻してきた感がありますが、これがつかの間の平和な時間にならない事を祈りつつといった感じです。

 ところで今回のテーマから少しそれてしまいますが少しだけ言わせていただきたい事があります。それは先日までまるで「この世の終焉」が訪れるかの如く煽り発言をされていた「専門家」の諸先生方に、どのような要因で現在幸いにも悲観的予測が外れたのかを是非とも検証し説明していただきたいという事です。

 またこの平穏はいつまで続くと予想されているのか?ワクチンによる抗体は半年程度で減衰してしまうとされているのなら高齢者のワクチン接種から年内に半年を迎えます。その際に感染再拡大が起きればまた重大な局面を迎える事になるのか?追加接種が必要とされるならその時期と接種に必要な体制は準備できているのか?末端の医療機関にはこれらの情報も全く届いておりません。

 この宣言によって大きな経済的打撃を受けた方々(たぶん感染者数よりはるかに多数であると思われます)に、過去の施策が正しかったのか否かを公正な立場で評価して説明する義務があると思います。加えて国民に向けて今後の見通しも暫定的にでも示すべきです。

 もちろん未知のウイルスが相手ですから想定外の状況は常に起こり得ますし、試行錯誤しながら対応を模索するのは当然です。しかし結果を分析して最善と考えられる方策を常に検討して次に危機に備える事こそが「専門家」の仕事だと思います。昨年から壊れたレコードのように「人流の抑制」を連呼するばかりの委員会はこの際に解散して、より優秀な適任者によって再編成するべきです。

 加えて、委員会はあくまでも諮問機関であって委員は選挙で国民に選ばれた存在ではありません。ですから専門的な見解を政府に提言するのが役目であって決定権は政府にあるという原則から逸脱してはなりません。国会で私的な見解を述べて世論誘導する行為は明らかに違法な越権行為であることをわきまえていただきたいと思います。

 さてだいぶ逸脱してしまいましたが今回の本題に入りたいと思います。今回のテーマは「ネットの口コミが引き起こす弊害について」です。みなさんはどれくらい「ネットの口コミや評価」を参考にされていますか?・・・例えば通販・飲食・そしてわれわれ医療機関の選択時にどれくらい影響されているのでしょうか?

 実は数年前からずっとこのテーマでいつかお話したいと考えていたのですが、先日初めて訪問した飲食店で象徴的な出来事に遭遇して久しぶりのブログ更新となりました。

 そのお店はたまたま新規開店を知って一度行ってみようかな~といったお気楽な感じで伺ったのですが、私もデジタルネイティブの端くれを自認していますので一応ネットでお店の評判を検索したりはしました。不自然に高評価って訳でもないけど開店から日が浅い割にはコメント数が多いかな位の印象でした。実際の料理内容やサービスや雰囲気は価格相応で特に感動も不満もなくといった感じだったのですが、食事の途中でテーブルにあったQRコードの印刷された小さなPOPに気が付いてから何だかモヤモヤした気持ちになってせっかくの食事が何だか楽しめずに終わってしまいました。

 そのPOPには「QRコードを読み込んでGoogleにコメント投稿して会計時にスマホを提示したら10%割引」と書いてあったのです。もちろん投稿内容を提示するのが条件ですから余程の事がない限り割引分の好意的なコメントになることは想定されますし、投稿数が多くなるのも当然の結果だったという訳です。このような「コメ割」は以前から通販サイトでは良く見かけましたが、高級感があってちょっとお洒落と位置づけされるカテゴリーの飲食店にしては少々無粋ではないのかなとちょっと残念な気持ちになりました。

 しかし数年前に問題となった「食べログ」の評価を請け負う業者が不正に書き込む事案と比べたらなんら違法性もありませんし高評価を強要している訳でもありません。「そんなの気にしないで適当にコメントして10%割引して貰ったら?」という意見の方が今では多数派なのかもしれません。ですからこんな程度は可愛いものと思う事にしました。

 ところが医療機関に関する口コミに関しては現在に至るまでずっと違法行為がまかり通る「無法地帯」な状態が続いており、前述したようにいつか皆さんにお話したいと思っておりました。うちのクリニックも数年前に被害にあった事があります。

 まず口コミに関しては良い悪いにかかわらず大半は業者が書いたデタラメです。年数回の頻度でそのような業者からダイレクトメールが届きます。その1~2週間前に主にgoogleで低評価かつ身に覚えのない(例えば当院で実施していない治療に関してなど)書き込みが続きますのでそろそろ来るかなってわかります。業者はご丁寧にもその書き込みを同封して「当社にお任せいただければこのような書き込みを消去して差し上げます・・・つきましては月○○万円にてご契約を」と自作自演の営業を仕掛けてきます。続いて「オプション契約で良い書き込みも増やす事が可能です・・・もちろんその際は競合クリニックへの悪い書き込みもセットで」といった全くとんでもない文言が付け加えられて(笑)。

 うちのクリニックも数年前にgoogleではありませんが事実無根の書き込みを連続でされてかつ同じ口コミサイトをみたら近所に開院したクリニックにたくさんの高評価が並ぶという分かり易い嫌がらせに巻き込まれた事がありました。あまりにも露骨でしたのでまず口コミサイトの運営会社に削除依頼を申し出ましたが、書き込み請負業者とグルな様子で当たり前に拒否され放置されました。あまりにも悪質なので顧問弁護士に依頼して書き込み内容が事実無根であることを診療記録から証明し(もちろん個人情報は保護した上で)、削除に応じない場合は提訴すると書面で通知したところ即座にあっさりと削除されました。

 口コミサイトへの書き込むという行為は通常よほどの感動あるいは怒りという感情の動きが存在しなければしないと思います。たまにグルメサイトには常連のレビュアーという趣味人が存在しますが、医療系のサイトにそのような趣味人は存在しません。業者の書き込みがなければどんなに患者数の多い医療機関でも年数件がいいところです。ということは・・・レビューがあまりにも多く評価が高いのは書き込みを外注している可能性が極めて高いと想定されます。医療機関の口コミはこのように闇の部分が多いのでみなさん決して鵜呑みにしないようにお気を付けください。

 ちなみに余談になりますが・・・私が今まで書かれていちばん嬉しかったレビューは「あの医者は口が悪いし態度も横柄だけど腕は確かだ」という書き込みでした。もちろんその書き込みを読んで言葉遣いと態度はしっかりと反省して即座に改善したつもりではありますが・・・まだまだ至らないと感じられた方はできましたら書き込みではなく直接お叱りを頂けたらと存じます(笑)。

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