コロナ騒動について今思う事(最終回) (2020-08-04)

 前回のブログを最後に、陰鬱な気分になるばかりの新型コロナの話題は止めにしようと思っていたのですが、最近の感染者数の大幅な増加に対して、無責任に不安を煽るだけのマスコミ報道と、そのマスコミに忖度した見解を毎日リモート出演してコメントする専門家と称される医師及び医療関係者(だいたい大御所と称される本物の専門家はワイドショーのような品格が高いとは言えない番組に出演しません)、パフォーマンス重視で場当たり的な対応に終始する一部の政治家の方々、これら各位の暴走によって日本が誤った方向にどんどん陥ってしまい、大多数の善良で権力とは無縁の庶民だけが被害を受ける結果となる恐怖と理不尽さを抑える事ができなくなったので、現在の思いを最後に記録として残しておこうと思いました。

 まずブログで一貫して主張している通り、今回の新型コロナウイルスは当初から東アジア地域に限ってはそれほど脅威とされる存在ではありませんでした。欧米とはけた違いの死亡率や重症化率からは人種間における免疫反応の相違、例えば自然免疫の働きで十分に対応され無症候のうちに治癒してしまうため、獲得免疫の発動が必要とされる症例が少ないのではないかという想定がされており、国内における抗体保有率の圧倒的な低さもそれを示唆する所見であると考えられます。

 また当初は高齢者や基礎疾患のある人が重症化しやすいとされ、確かに第1波と言われている時期には重症化して不幸な転機を辿る方も相当数いらっしゃいましたが、今回は重症者や死亡者が桁違いに少ないという特徴があります。今から1週間ほど前にTV出演されていた専門家と称される医師(経歴を確認するとちょっと怪しい)が感染者増加の2週間遅れで重症患者のピークが来ると恐怖を煽る発言をされていましたが、はたしてあと1週間後は?・・・感染を確認されている母数が増加しているため多少は増加しても、重症患者が前回のように増加する状況にはならないと私は思っています。

 その理由は第一にウイルス自体の弱毒化が考えられます。コロナウイルスというのはもともと「鼻風邪」のウイルスであり凶暴な性質のものではありません。自称専門家医師の中に「もし強毒化の方向に変異したら」とこれまた恐怖を煽る発言を繰り返していた方がいらっしゃいましたが、ウイルスの基本的な進化の方向性は宿主との共存共栄です。大半のウイルスは「感染力は増加させるが毒性は減少させる」という方向に変化していきます。宿主を失ってしまうと存在不可能であるウイルスの合理的な進化です。

 次の理由として、不幸にして重症化から死に至るメカニズムがある程度解明されて、治療レベルが格段に向上したことがあげられます。新型コロナウイルス感染症の重症化はサイトカインストーム症候群によるものであり、デキサメタゾンを投与して免疫機能全般を低下させサイトカインストームを抑制したり、インターロイキン6(IL6)というサイトカインストームを引き起こす中心的な生理活性タンパク質の暴走を抑えるトシリズマブという関節リウマチの薬を投与したり、重症化に対処する方策がとれるようになってきています。

 ですから今回の感染者数(患者数ではないという点も前回と大きく異なります)の増加に関しては、必要以上に恐れたり騒いだりする愚かな対応はもう止めた方が良いと考えます。毎日のニュースで「今日の感染者数は・・・」と発表するのは「今日風邪をひいた人は・・・」と言っているのと同じような意味しか持たず、「〇〇でクラスターが・・・」は「〇〇でインフルエンザによる学級閉鎖が・・・」と似たような意味しか持たないと思っています。

 前も書きましたが2018年の日本国内のインフルエンザ死亡者数は3325人です。今回のコロナウイルスの死亡者数は1000人を先日超えたばかりです。それなのにこの大騒ぎと自粛要請はいささかバランス感覚に欠けるのではと個人的に思っています。感染が判明したらたとえ無症状でも隔離や入院が義務付けられている「指定感染症」のままPCR検査ばかりを増やして感染者の捕捉をこのまま続けたら、入院ベッドも療養施設も足りなくなるのは「自明の理」と言えましょう。なるべく早期に指定感染症から外すべきと思います。その上で本当に医療が必要な中等症以上の患者さんに適切な医療を提供したらいいのです。

 加えて現在使用されているPCR検査は遺伝子配列の2カ所だけ同じで陽性判定されるので、もともと日本に存在する風邪のコロナウイルス陽性とされます。PCR検査というのは微量なDNAを検出するための方法であり、ウイルス自体を検出する方法ではありません。ですからPCR検査はそもそも感染者数をカウントする用途に向いていない方法であるとも言えます。そのような検査法を用いてかつ無症状の人にまで検査をして、陽性者数も感染者数も患者数もごちゃ混ぜにした状態で発表された数字をもとにマスコミが騒ぎ立て、医学知識に乏しい一般の善良な市民を見えないウイルスの恐怖に陥れる・・・この最悪とも言うべき状況をどうして医学・ウイルス学・自然科学などの専門家が誰も指摘して是正しようと行動しないのでしょうか?やはり以前お話した日本人特有の同調圧力に屈している、つまり「国民全体がウイルスと懸命に戦っているという正義」に水を差すような発言をして攻撃されたくないので、ここはひとまず様子をうかがっておこうといった感じなのでしょうか?

 加えて指定感染症からは外さずにPCRだけどんどん増やすといった、収容可能なキャパシティーを全く考慮しない方針になにか意図はあるのでしょうか?・・・例えばPCR陽性者の受け入れをしている医療機関の経営が非常に圧迫されているといった報道は連日されています。コロナと全く関係ない医療機関においても全診療科で受診抑制による減収が起こっているというデータも医師会を通じて出されています。その一方でPCR陽性者の受け入れはせず検査だけたくさん実施して潤っている施設や検査センターや新たな検査機器を開発し販売する企業も存在しているはずですが全く報道されていません。医療人として考えたくはありませんしあり得ないとは思いますが、そこに何らかの闇の部分みたいなものがあったとしたら非常に怖いと思います。なぜなら指定感染症から外されたら無症候者までPCRをしなくなりますから(例えばインフルエンザの検査は症状がある患者さんにしかしません)、指定感染症のままであってもらう必要がある立場の人たちが存在するのも事実なのです。このような穿った性悪説に基づいた想像が誤りであることを強く願うばかりです。

 マスコミは「治療薬がないから」「ワクチンがないから」と不安を煽りますが、そもそも風邪に治療薬など存在しません。巷で言うところの「風邪薬」は風邪に伴う諸症状を緩和する成分の薬であり、風邪のウイルスに対する薬ではありません。ワクチンも前述したように獲得免疫の発動がなされないケースが大多数と推測される東アジア地域に位置する日本において、しかも感染者の調査において獲得できた抗体も2か月前後で消えてしまうという報告を見る限りではあまり効率が良く期待できる製剤は作れないのではないかという印象を持ちます。現在アメリカで製造されたワクチンを輸入する話が出ていますが、抗体が作られやすい欧米人と作られにくいアジア人では接種による抗体獲得効果も大きく異なる事が予想されます。そもそも風邪と同じ毒性までウイルスが大人しくなればワクチンは必要ないという事になります。

 加えて、今週から東京都をはじめ地方でも「酒類を提供する飲食店の時短営業」再度要請されましたが、そこにどのような意味や効果があるのか私には全く理解できません。感染を減らしたいのであれば営業時間ではなく会合のスタイルを重視すべきです。旧来からの日本の悪癖というか会社等の「飲み会」で大声を上げて盛り上がる集団みたいなものこそ自粛させることができれば、感染予防という観点からはかなりの割合で目的達成ができると思います。少人数で静かに会話を楽しむスタイルであれば、アクリル板などなくてもさほど感染が拡大するとは思えません。ですからこれ以上「新しい生活スタイル」なるものをリスクの低い場面でも強要しないように、また零細企業である飲食店をこれ以上経済的に追い込まないでいただきたいと思うのです。

 私は今こそ私達それぞれが自分で考えて判断する必要があると思います。店舗であれば時短要請に応じるかどうか、個人であれば自分の社会活動をどこまで制限するのかあるいはしないのか。その他の様々なことに関しても自己責任で行動できる人間の成熟度みたいなものが求められていると思います。メディアが連日一方的かつ無責任に垂れ流す恐怖感というものは、ちゃんと自分の頭で考えて判断して行動する習慣をつけないと容易に洗脳されてしまい、人生からあらゆる機会・時間・富など様々なものを奪ってしまいます。それはまさに今回のコロナ騒動よりもはるかに恐ろしい事です。

 昔から「風邪は万病のもと」と言われたように、風邪であっても肺炎等の合併症で亡くなる人(特に高齢者)は存在しました。ですから今までお話したように新型コロナウイルスがこのまま風邪程度の毒性になったとしても死亡リスクはゼロには決してなりません。ですから「死者がでるから怖い病気」という誤った認識で無秩序に大騒ぎするのではなく、重症化率や死亡率から冷静にこの疾患の恐ろしさを認識・判断して、みなさんがかつて過ごしていた平穏な日常生活に1日でも早く戻っていただきたいと心から思っています。

 最後に、私は最初から一貫して「新型コロナウイルス」に関しては楽観的な予測のもとにいろいろと提言させていただいておりました。しかしこのことは「新型コロナウイルス」に関係された患者さんやそのご家族、治療にあたられた医療従事者及び保健所等など頑張ってお仕事をされていらした方々に対して、決して配慮や敬意が足りないという事ではございません。当事者の立場で現場にいらしていろいろとご苦労ご尽力された事実に関して最大限の敬意を払い感謝の気持ちを申し上げたいと思います。

 私が「新型コロナウイルス」に関して論じさせていただくのは今回を最後といたします。今までの私の楽観的な予測が間違っていない事を信じて、完全に日常的な風邪のウイルスとして扱われるようになった時に「こんなたいへんな事もあったよね」と笑顔で読み返せる日が来ることを心より願っています。

←新しい記事へ ↑一覧へ 以前の記事へ→

薬院高橋皮ふ科クリニック 福岡市中央区薬院1-5-11 薬院ヒルズビル2F 092-737-1881