AGAの原因
男性型脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)の原因は遺伝的要因が大きいとされています。男性ホルモンのひとつであるテストステロンをジヒドロテストステロン(dihydrotestosterone:DHT)に変換する酵素の5αリダクターゼの活性度やDHTを受け取るアンドロゲンレセプターの感受性は遺伝的に決まっているとされています。
このDHTが毛乳頭にあるアンドロゲンレセプターと結合するとヘアサイクル(毛周期)に変化が起きて通常5年前後ある毛髪の成長期が1年前後に短縮されてしまい髪がきちんと太く長く成長する前に抜け落ちてしまうため薄毛が生じてしまいます。これがAGA発症のメカニズムです。
AGAの治療
2017年版の日本皮膚科学会による男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインで推奨度が高い治療としては以下のものがあげられます。
| ① フィナステリド内服: | 男性:強く推奨(推奨度A) 女性:行うべきでない(推奨度D) |
| ② デュタステリド内服: | 男性:強く推奨(推奨度A) 女性:行うべきでない(推奨度D) |
| ④ 低出力レーザー照射: | 男性:推奨(推奨度B) 女性:推奨(推奨度B) |
| ⑤ カルプロニウム塩化物: | 男性:行ってもよい(推奨度C1) 女性:行ってもよい(推奨度C1) |
その他アデノシン外用(男性:推奨度B・女性:推奨度C1)、t-プラバノン外用(男性のみ推奨度C1)、サイトプリンおよびペンタデカン外用(男性のみ推奨度C1)、ケトコナゾール外用(男性のみ推奨度C1)までが行ってもよい治療として判定されています。
注意すべきは自由診療系のいわゆる発毛クリニックチェーンや美容外科などで行われているミノキシジル内服が全身の多毛症の副作用や心血管系障害の危険性などから行うべきでない(推奨度D)とされている点です。
AGA治療の効果
AGA治療はある程度の期間治療を継続しないと効果を自覚しにくい特徴があり、内服薬で効果出現まで通常3〜6ヶ月、外用薬で4ヶ月〜12ヶ月を要するとされています。
報告にもよりますがフィナステリドおよびデュタステリド長期内服による治療効果は80~90%程度、ミノキシジル長期外用による治療効果は50%以上とされています。
フィナステリドは5αリダクターゼⅡ型の働きを阻害、デュタステリドは5αリダクターゼのⅠ型とⅡ型の両方の働きを阻害するので治療効果はデュタステリド>フィナステリドと考えられています。
AGA治療の副作用
フィナステリド・デュタステリド内服
① 初期脱毛
まれに治療初期にヘアサイクル(毛の成長サイクル)が正常に戻るために起こる一時的な抜け毛の増加がみられることがありますが通常は1〜3ヶ月ほどで落ち着きます。
② 性欲低下・勃起機能障害(ED)・精液減少
5αリダクターゼ阻害薬は男性ホルモンであるDHTを抑えるために上記症状が起こる場合があります。発生率は性欲減退(1~5%)ED・精液減少(1%未満)でフィナステリド>デュタステリドとされています。
③ その他
肝機能障害・乳房肥大や圧痛・抑うつ症状・めまいなどがあるとされていますが頻度は不明です。
ミノキシジル外用
外用剤なので頭皮のかゆみや発疹などの皮膚障害が多いですが、他にめまいや動悸などの報告があります。もともと降圧剤として開発された薬剤なので、血圧の異常や心疾患がある場合は医師に相談してください。

