ニキビは思春期だけのものではありません。「大人のニキビ」も増えています。しかも「思春期の頃はニキビなんてまったく無縁だったのに・・・」って言われて受診される方も少なくありません。どうして大人になってからニキビ肌になってしまったのか?どうしたら早く良くなるのか?これから一緒に考えてみましょう。
大人になって変わること…化粧をすること
思春期と比べて大人になってから肌環境が大きく変化することと言えば・・化粧をする習慣という要因が最も重要だと思われます。フェイスラインを中心に分布するニキビをよく「コスメティックアクネ」と呼びますが、大人になってからできるニキビの大部分はこのタイプです。
フェイスラインや耳前部の髪の生え際などは、クレンジングや洗顔と洗い流しがどうしても不十分になりがちです。化粧落としが不十分な上にまた化粧を重ねる日々が続けば、自然と毛穴は詰まりやすくなります。加えて洗い残した界面活性剤は毛穴の炎症を引き起こすきっかけになります。
大人になって変わること…働くということ
働くということは心理的ストレスを受けるということ・・・人により仕事によって大きな差異はあるでしょうがストレスがまったくないはずはありません。
全ての人が該当する訳ではありませんが、女性にはストレスによって視床下部―下垂体―副腎の機能調節異常からアンドロゲン(男性ホルモン)が上昇して、皮脂分泌が亢進してニキビを生じることが知られています。
女性だから避けられない…生理という現象
多くの女性は生理前にニキビが悪くなるといって受診されます。これにはホルモンバランスの変化が皮脂分泌の亢進を引き起こすという側面と、生理前の身心の不調(月経前症候群と呼びます)特に心理的なイライラ感からニキビを無意識に弄って炎症を悪化させてしまうという二つ要因があります。
また生理不順や月経異常などの自覚症状があるニキビの患者さんは、婦人科的なホルモン異常を引き起こす疾患が隠れている場合もありますので注意が必要です。
大人ニキビ解決のポイント
①快食・快眠・快便
当たり前ですがもっとも基本。便秘とニキビの関係は科学的な証明はありませんが、便秘を繰り返すようなバランスの悪い食習慣はニキビを引き起こすと考えられます。
②覆わない・らない
髪型や服装でニキビを隠そうとすればするほど、毛先や繊維の慢性刺激によってニキビの炎症は悪化します。慢性の患者さんのなかには無意識に触ってしまう習慣がついてしまっている人も・・・もう一度自分の嗜癖的行動パターンをチェックしましょう。それから自分で潰そうなんて論外・・・あとでニキビ跡に悩む可能性が高いので、皮膚科専門医のアドバイスを受けましょう。
③毛穴を塞がないメイク・ポイントメイクと補色を上手に利用
適度の化粧は皮膚の保水性を維持することで皮脂分泌を抑制してニキビ肌は好ましいといえます。しかしニキビ桿菌の好む油脂が多く含まれる製品やリキッドファンデーションのように毛穴を塞いでしまう傾向の強いものは控えてください。オイルクレンジングはニキビ桿菌の好む油脂でなくても毛穴に残留した界面活性剤成分が炎症を遷延化させてしまう例があるのでジェルタイプのクレンジング剤が好ましいといえます。ニキビの赤みを隠すには補色である黄色や緑を配色したファンデーションが有効で、リップメイクやアイメイクなどニキビのできない部分に視線を誘導するテクニックも有効です。