帯状疱疹ワクチン

帯状疱疹は水痘ウイルス (水痘・帯状疱疹ウイルス)の再活性化により起こります。強い神経痛を伴うことが多いという特徴があります。皮膚症状がおさまった後もこの帯状疱疹後神経痛が長引くことに悩まされる患者様も少なくないため、ワクチンによる予防が大切と考えられています。

2016年に従来からある水痘ワクチンが50歳以上の帯状疱疹の予防として適応を取得しました。また2020年からは新たに予防効果に優れたサブユニットワクチン「シングリックス」も帯状疱疹の予防として適応を取得しています。

従来からある水痘ワクチンは安価ではあるのですが「生ワクチン」であるために使用できる対象に制限がありました。例えば「妊婦」「がん患者」「免疫抑制剤(ステロイド・シクロスポリン・タクロリムス・アザチオプリンなど)投与中」「生物学的製剤投与中」「HIV感染者」などは禁忌とされており使用できません。免疫抑制状態では帯状疱疹のリスクが上昇するのにワクチンが接種できない状況がありました。

新しく承認されたワクチン「シングリックス」は、このような免疫機能に問題がある患者さんであっても接種可能です。欠点として費用が高額であり接種時の落痛が強い事があげられますが帯状疱疹の予防効果は高いとされています。

以上より、免疫機能に問題がない健康な方は安価な従来型のワクチン、基礎疾患があって免疫機能低下が懸念される方はシングリックスというような使い分けが合理的であると考えられます。

従来型ワクチンとシングリックスの違い

乾燥弱毒生水痘ワクチン(従来型) 帯状疱疹ワクチン「シングリックス」
ワクチンの種類 生ワクチン 不活化ワクチン
接種回数 1回 2回
接種期間 2か月~6か月あけて2回目接種
副反応 軽度の注射部位の発赤腫脹や発熱等が
1~5%程度
注射部位の発赤腫脹や疼痛
頭痛、筋肉痛、疲労、発熱、悪寒、胃腸症状
(悪心・嘔吐・腹痛・下痢)が10%以上
接種できない人 ・ワクチンの成分にアレルギーのある人
・免疫抑制状態にある人
・妊婦
・ワクチンの成分にアレルギーのある人
帯状疱疹予防効果 51% 97.2%
神経痛予防効果 67% 88.8%
他のワクチン接種 接種後4週間以降で可能 接種後1週間以降で可能
接種費用 ¥8,800(税込) ¥44,000(税込:2回分)

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