「シミ」は美白化粧品くらいではなかなか太刀打ちできないことが多いのが実情です。しかし美容皮膚科学の進歩とともにさまざまな薬剤や機器を用いた治療法が確立されています。治療成績も飛躍的に向上していますので、諦めてしまう前に美容皮膚科医専門医にまずご相談ください。
「シミ」の種類とその治療法について
①肝斑:
女性に多い最も一般的なシミで頬部を中心に前額や口囲など左右対称性に分布します。妊娠や経口避妊薬の使用などで悪化するためホルモンとの関連が示唆されています。また紫外線暴露や疲労によっても一時的な悪化がよくみられます。各種医療機器(レーザーやフォトフェイシャルなど)での治療は症状悪化を招く事が多く、レーザートーニングという特殊な治療方法を除いて適応となりません。
ハイドロキノンやレチノイン酸などの美白剤の外用とビタミン剤やトラネキサム酸の服用が治療の基本となります。ビタミンC+トラネキサム酸のイオン導入やエレクトロポレーションという最新の導入法の開発によって治療成績は向上しています。
②雀卵斑:
一般的にソバカスと呼ばれ、小児期から思春期にかけて頬部から鼻背部を中心に発生します。多くは優性遺伝で家族内発生が多く紫外線暴露によって悪化します。レーザーやフォトフェイシャルなどの治療によく反応します。
③老人性色素斑:
紫外線暴露による老化現象で誰にでもできる「シミ」です。中年期以降の方が中心になりますが、屋外でのスポーツをされる方は若年者でもよくみられます。色素斑だけの段階ではハイドロキノンやレチノイン酸等の美白外用剤やレーザー・フォトフェイシャルによる治療のいずれにもよく反応します。
④脂漏性角化症:
老人性色素斑から移行する隆起した良性腫瘍(俗称:年寄りイボ)です。液体窒素による冷凍凝固法やCO2レーザーによる治療をおこないます。
⑤遅発性両側性太田母斑様色素斑(真皮メラノサイトーシス:ADM):
思春期以降に出現し頬部や前額部を中心に分布する少し灰色がかった色素斑です。先天性のアザである太田母斑によく似ていますが、眼球メラノーシスがなく三叉神経支配領域と分布が一致しないなどの違いがあります。治療はQスイッチ付きレーザーのみが適応となりますが、色素が深い部位にあるため通常は数回の照射が必要となります。
⑥炎症後色素沈着症:
炎症病変の局所的メラニン生成過剰状態からシミを形成した状態で、自然軽快傾向があります。ハイドロキノンやレチノイン酸などの美白剤やビタミンCのイオン導入などが効果が期待できます。