日本性感染症学会に参加してきました。 (2018-11-25)

慈恵会医科大学で開催された日本性感染症学会に参加してきました。
最近「梅毒」の異常な増加がマスコミにも取り上げられる機会が多く、
一般の皆様も性感染症について関心を持たれている事と思います。

性感染症は個人のプライバシーに深く関係し、またイメージ的にも
あまり関わりたくないと考えている方が少なくないと思いますが、
決して特別な疾患ではなく誰でも当事者になりえる存在です。

性感染症学会の認定医として診療に携わる際のプライバシー保護は
最大限の配慮をするよう心がけていますので、もし心配な事があれば
何でも相談していただけたらと思います。

さて今回の学会では各種性感染症の診断治療についてとどまらず、
いろいろな興味深いセッションがあり充実した内容でした。

例えば当事者だけでなく感染の可能性のあるパートナーにきちんと
検査及び治療を受けてもらえるようにするにはどうしたら?という
治療現場での問題について(実際パートナーに感染を隠す例はかなり
多く、ピンポン感染や不妊症などの重大な結果をもたらします)とか、

中高生を対象とした性教育の現場で、教育という上から目線ではなく
自分や友人が学生だった当時の体験談を交えながら、大人の理想論や
倫理観といったものを押し付けず、性に関してのフリートークの中で
性感染症についての知識も伝えている女性産婦人科医の活動とか、

HIV感染症の治療の進歩と患者予後の劇的な改善は、治療だけでなく
U=Uキャンペーン(服薬治療をきちんと継続していればHIVウイルスは
検出限界未満となりパートナーに感染しないという事実を広く啓発して
感染者に対する差別や偏見をなくす活動)という動きも始まっていて、
近い将来医療従事者だけでなく社会全体が慢性疾患(高血圧や糖尿病など)
と同列に語られる日が来るであろうという講演とか、

日常の診療内容だけでなく視野を広げてくれる内容が盛りだくさんの
有意義な学会で、大変勉強になりました。

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