イソトレチノイン内服治療

イソトレチノインは①角質剥離作用②毛包の角化異常の正常化③皮脂腺縮小④皮脂分泌抑制⑤抗炎症効果などがあり、米国のFDA(食品医薬品局)をはじめ諸外国で治療薬として承認されており欧米では30年以上の治療実績があります。しかし日本では現時点で未承認薬剤ですので自費診療となります。

イソトレチノイン内服治療

イソトレチノイン内服治療の適応となる症状

中等度~重度のニキビを慢性的に繰り返して治療抵抗性である場合や、ニキビが瘢痕化しやすく凹凸を残しやすい場合や赤ら顔(酒皶)などが適応となります。

イソトレチノイン服用に関する注意点(副作用等)について

イソトレチノインにはさまざまな副作用があるため専門医の適切な管理のもとで服用することが必要とされています(これら副作用のために国内においては未承認薬となっています)。

イソトレチノインの代表的な副作用

① 皮膚や粘膜の乾燥
イソトレチノインは過剰な皮脂腺の働きを抑制するために皮脂の分泌量が減少して乾燥しやすくなります。特に乾燥に弱い粘膜部の症状(口唇炎やドライアイなど)が出現しやすく保湿剤やリップクリームや点眼薬など適切な保湿ケアが必要となります。

② 胎児への影響(催奇形性・流産・早産・死産など)
イソトレチノインは胎児の発育に重大な影響を及ぼす可能性が高く、服用開始前に妊娠していない事を確認するとともに服用中は避妊が必要となります。胎児への影響は服用終了後1カ月間継続するとされているため、イソトレチノインの服用期間中と服用後1か月は妊娠を避ける必要があります(当クリニックでは安全を考慮して服用中止から女性6か月男性2カ月の避妊をお願いしております)。また母乳中にも移行するため授乳中も服用できません。

③ 薬剤性肝機能障害
内科的な副作用として薬剤性肝機能障害などがみられる場合があります。そのため治療前と服用中は月1回の定期的な血液検査が必要となります(服用前検査で既に異常が認められる場合イソトレチノイン内服治療はできません)。

④ ニキビの一時的な悪化
イソトレチノイン服用によりターンオーバーが促進されて一時的にお肌が軽い炎症を起こす、またはニキビ自体の炎症が強くなることがあります。この症状は服用を継続により落ち着くので心配ありません。

⑤ 光線過敏症状
ターンオーバー亢進によりお肌が紫外線に敏感になるためサンスクリーン剤の使用が推奨されます(内服中および内服終了から3か月間は安全のためレーザー治療や光治療などの美容施術は控えるようお願いしております)。

⑥ 精神症状(うつ症状など)
精神症状(おもに抑うつ症状)が現れる場合があります。不安感や焦燥感など自覚した場合は服用を中止して担当医の診察を受ける必要があります。

※その他にもいろいろな注意点がございますので治療開始前に担当医から詳細な説明をさせていただきます。


イソトレチノインとの併用禁忌薬剤

テトラサイクリン系抗生物質(ミノマイシン・ビブラマイシンなど)
抗てんかん薬(フェニトイン)
副腎皮質ステロイド
ビタミンA(レチノイド)
セントジョーンズワート(ハーブティーやサプリメント)

イソトレチノイン内服期間と治療効果

イソトレチノインは皮脂腺の細胞に作用し皮脂腺そのものを縮小させる効果があります。服用終了後に皮脂腺は少しずつ元の大きさに戻ろうとしますが元の大きさまでは戻りません。そのため皮脂分泌量が持続的に抑制されることによるニキビ予防効果が持続する優れた治療と言えます。このようなニキビの寛解状態を長期的に維持するためには皮脂腺の縮小がしっかり得られるまでの期間きちんと治療を継続することが重要となります。

内服開始1~2カ月: 一時的なニキビ悪化がみられる場合がある(一定の確率で起きる反応で自然に改善する)。
過剰な皮脂分泌が抑制され脂性肌が改善している感じが自覚されるようになる。
内服開始3~6カ月: 肌質(キメ)が改善。毛穴の開きが少しずつ改善していることを自覚できるようになる。

イソトレチノイン内服の用法・用量・治療期間

1日20mg~40mgを1~2回食後に服用します。
※女性は妊娠に気づかずに内服開始してしまわないため定期的月経開始を確認してから服用を開始します。イソトレチノインの標準的な服用期間は4~6カ月です。

イソトレチノイン内服治療にかかる費用

治療内容 金額(税込)
イソトレチノイン(アクネトレント®)20mg30日分 17,600円
治療前・治療開始後の採血検査 6,600円

薬院高橋皮ふ科クリニック 福岡市中央区薬院1-5-11 薬院ヒルズビル2F 092-737-1881