新年あけましておめでとうございます。
今年が皆様にとってより良い1年となりますことをお祈り申し上げます。
ここ数か月ブログの更新ができておりませんでした。
昨年の11月・12月は学会出張が多く貴重な日曜日がなかなか自由に使えなかったもので(言い訳ですが・・・)、今年はできるだけ定期的に更新しようと思っております。
さて今年は数年前から問題視されていた2025問題の初年度となります。
団塊の世代である800万人の全員が75歳以上となり総人口の約18%(2,180万人)が後期高齢者となります。
2025年の社会像として厚生労働省のレポートでは以下の事が指摘されています。
①高齢者人口の推移:高齢化の進展の「速さ」から高齢化率の「高さ」が問題化。
②認知症高齢者数:約320万人。今後急速な増加が見込まれる。
③高齢者世帯数:約1,840万世帯。約7割が1人暮らしか高齢夫婦のみで約680万世帯(約37%)が1人暮らし。
④年間死亡者数:約160万人(うち65歳以上約140万人)。
⑤都道府県別高齢者人口:首都圏をはじめとする「都市部」で高齢者の「住まい」の問題等の従来と異なる問題が顕在化。
また経済産業省は「2025年の崖」というワードを用いて、DXの推進が遅れて国際競争力が失われ大きな経済損失が発生すると危惧しています。
①既存システムの機能やカスタマイズが不十分なため社会横断的なデータ活用ができておらず、システム自体も複雑化・ブラックボックス化している。
②既存システムに関する問題解決も含めて業務自体の見直しも求められているが現場からの反発によってDXが妨げられている。
上記の問題が解決できなければ2025年以降年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされています。
加えて「働き方改革」の悪い影響として、さまざまな業界で人手不足が深刻化すると予想されており、パーソル総合研究所の調査では2025年では505万人2030年では644万人もの人材が不足すると予想されています。業種別に最も不足する業種はIT化による人材不足を補う事が困難な「サービス」「医療・福祉」とされています。
但し安易に労働力を他国からの移民に頼ればEU諸国が現在直面している「治安の悪化」や「自国民と移民の対立や紛争」「移民排除運動からの極右政党の躍進」などが日本でも起こる事が容易に想定されます。
成り立ちが他民族移民国家であるアメリカ以外では、それぞれの国家が長い歴史の中で培ってきた固有の国家観や歴史観及び宗教観が存在し、国家に対する帰属意識が強く存在するために経済活動のグローバル化が現状以上に進んだとしても、民族としてのグローバル化は国民の大多数が拒絶反応を示して不可能なのではないかと個人的に思っています。
ですから日本の少子高齢化問題はこの先数十年は改善されることはないという事実を前提に、社会保障費を圧縮するためにある程度の国民負担も必要となります。
①地域包括ケアシステムの機能強化により医療・介護・福祉など複数のサービスの緊密な連携を図りサービスの重複による社会保障費を削減する。
②高齢者医療の自己負担の見直しや高齢者就労促進によって社会保障費を削減する。
③2025年時点で不足している介護人材約20万人を確保するために労働環境改善が急務であるため、介護事業者が適正な介護労働者に報酬を支払う仕組み(事業者による介護報酬の中抜きをさせない法整備)や介護を受ける高齢者の自己負担の見直しをおこなう。
以上の国民負担を受け入れるとともに企業も人材確保のために以下の対策をおこなう必要があると考えています。
①働きやすい労働環境の整備
独自の外福利厚生を充実(例えば企業内保育所の設置による子育て世代の定着率向上)
ビジネスケアラーの増加に備えるため労働者介護支援の社内制度を整備する
キャリア形成支援制度を拡充し労働へのモチベーションを高めて定着率を向上させる
②多様な雇用形態を採用する
テレワーク・フレックスタイム制・所定労働時間が短い「短時間正社員制度」の導入によって労働時間や条件などの環境を整備し若年者から高齢者までの多様な就労ニーズにこたえる。
③外部リソースの活用
アウトソーシングやBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)にノンコア部門を任せて貴重なスタッフをコア業務に集中させる(人員の増減や繁閑差に左右されずに安定した業務遂行機能を確保する)
以上が現状思いつく2025年問題に対する処方箋ですが、ひとつだけ現在の政策の中で納得がいかない「働き方改革関連法(働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律)」についてお話して今回の結びとしたいと思います。
長時間労働による過労死が問題となり時間外労働の上限規制(月45時間・年間360時間、ただし特別な事情がある場合は月100時間・年間720時間で年6回まで)や勤務間インターバル制度(最低11時間)を定めたもので、これにより運送物流業界のドライバー不足の深刻化や建設業界の人手不足による建築コスト上昇が現在問題となっています。
政府は労働生産性向上とDX化により乗り切りましょうと言っていますがIMFによる一人当たり名目GDPランキング190国中39位でしかも前年比マイナス3.1%(これ以上マイナスである国はGDP74位以下の12国アルゼンチン・エジプト・ガーナ・東ティモール・エチオピア・ザンビア・ルワンダ・ナイジェリア・スーダン・イエメン・マラウイ・南スーダンしかない)である事を考えたら労働時間上限を設定しながらDX化で生産性向上しましょうというのはいささか無理があり、ますます国家衰退を招くのではないかと危惧しています。なぜなら日本の一人当たりGDPが低いのはIT産業のような効率の良い産業の割合が少なくサービス業のような労働集約的な産業の比率が大きいのが要因なので、簡単にDX化で改善という訳にはいかないからです。
そもそも労働時間というのは職種や年齢や熟練度など様々な要因によって個人差が大きく、かつ労働時間の短縮を最重要と考える人から収入が多いことを最重要と考える人までいろいろです。もちろん職場の上長の指図でサービス残業をさせられるような事は言語道断ですが、より稼ぎたい人が労働時間の制約で働く(稼ぐ)自由を奪われるのは納得ができません。
今流行のコスパやタイパを最重要視する人は自身の持つスキルによっておのずと限界があります。コスパやタイパが自身の持つスキル以上に良すぎる仕事というのは労働者が使い捨てにされやすい落とし穴があることが少なくなく、現時点での選択が正解と思えたとしても将来的なパフォーマンスが同様に得られるかどうかはいささか疑問です。対して時代を問わず確実に言えることは体力や知力に余力がある年齢の間に苦労や手間暇を惜しまずにきちんとしたキャリアを形成した場合のパフォーマンスは一生ものであることが多いということです。
ですから・・・最近なにかと医療業界で話題になる「直美」(初期研修を終えた後に専門研修プログラムである専攻医にならずコスパとタイパに惹かれて直接美容外科に就職する医師)の殆どが使い捨てにされるであろう将来どのような道を歩むことになるのか個人的には興味津々な今日この頃であります。

