グローバリズム VS ナショナリズム 今後の展望は?

 グローバリゼーション(地球主義)とは国境というものを取り払い人・物・資本・情報の流れの制約を無くしてゆこうという考え方(世界の一体化を目指す)でありこれを推進する考え方がグローバリズムと呼ばれます。

 このグローバリゼーションの流れの中で日本にも外国人労働者としての移民が近年大きく増加することに起因するさまざまな問題が生じており、直近の参議院選挙や自民党総裁選においても争点とされました。

 岸田政権や石破政権では「日本が直面している少子高齢化を解決する手段として不可欠である」と移民を積極的に受け入れる立場を表明していましたが、その考えは本当に正しいのか?治安悪化などの影の部分を考慮すると最善策ではないのでないか?と疑問に感じる国民が増加して移民が社会問題化しています。

 実際に2024年10月末時点の日本国内における外国人労働者数は230万人と過去最高を記録しており年間増加率は12.4%にもなっています。増加を続ける移民を危惧して移民に頼らずとも国内の潜在労働力の掘り起こしや技術革新・・・例えば年収の壁を撤廃して働き控えをなくしたり行き過ぎた労働時間制限を緩和したりAIや機械化の進歩を促進する・・・これらにより不足が想定されている労働力を賄う方向で検討するべきであるという意見も増えてきています。

 このようなグローバリズムを推進するグローバリストたちの志向としてはEUにみられるような共通通貨(ユーロ)やパスポート免除(シュンゲン協定)、インターネットを通じた多国籍企業の発展とそれを支える規制緩和などが代表的とされています。

 グローバリズムで得られるメリットとしては①企業の商圏が世界規模に拡大することによる利益上昇②世界から安い労働力と原材料を調達することによる生産コスト削減③世界規模の研究開発による技術革新があり、実際に第二次世界大戦後の経済は大きく発展し、2023年の世界GDPは107兆4474億ドルと1960年のおよそ75倍にまで増加しています。

 しかしデメリット小さくなく①自国産業の衰退(世界規模の競争に勝てるのは多国籍企業のみ)②国内産業の空洞化(勝ち残れる多国籍企業を目指してコストの安い国に生産拠点を移転)③国内労働者の賃金減少(価格競争激化により労働者賃金も世界的な競争に晒される)によって、ごく少数の大資産家と大多数の貧しい労働者階級という格差構造が必然的に生じます。

 加えて社会的なリスク(リーマンショックやコロナ)などもグローバル化して瞬く間に世界中に拡散するようになり、利益至上主義の競争下で環境破壊が生じ(メガソーラー等)、安い労働力を目的とした移民政策は国内の治安悪化を招きます。

 移民政策による治安悪化で最も有名なのはスウェーデンです。スウェーデンはもともと1930~40年代のロシア革命やスターリンの大粛清を逃れたロシア難民とナチスの迫害から逃げてきたユダヤ人および反ナチスのレジスタンスとソ連に併合されたバルト三国の人々などの難民によって多くの移民が存在していました。加えて1950~60年代になるとトルコや南欧からの移民労働者を多数受け入れた結果1966年には全人口780万人の約6%(46万人)が移民という状況になっていました。しかしこの時代の移民はスウェーデン語を話しスウェーデンでちゃんと仕事をして自立した生活を送り平和的にスウェーデン社会に適応していました。

 ところが1989年に東西冷戦が終結したことによる東欧諸国からの難民に始まり湾岸戦争や各地の紛争で大量に発生したボスニア・ソマリア・ルワンダ・ブルンジからの難民を受け入れ続けて現在では総人口1049万人に対する移民が214万人(5人に1人が移民)という異常な状況となってしまいました。加えてこれら移民の多くが教育を受けず、言語を学ばず、社会に適応する意思も持たず多くの犯罪の温床となり「ギャングの天国」とまで呼ばれるようになってしまいました。例えば銃犯罪発生率が欧州トップ(銃による殺人率が欧州平均の2.5倍)、2023年における性犯罪総数23,900件(強姦報告数は過去10年で50%増加)などがあげられますが、近年は移民2世による犯罪増加がさらに大きな問題となっています。

 このようにグローバリズムのデメリットで生じた国民の不満はSNSなどを通じて誰でもダイレクトに発信することが可能な時代であるために「グローバリズムはごく限られたエリートだけを利するもので一般大衆が求めているものではないのではないか」という反グローバリズム(ナショナリズム)的な考えを持った人々が近年世界中で生まれて勢力を拡大しつつあります。

 例えばイギリスの「リフォームUK」・ドイツの「AfD(ドイツのための選択肢)」・イタリアの「イタリアの同胞」・フランスの「国民連合」・スペインの「VOX」・オランダの「自由党」などヨーロッパ各地で右派政党の躍進がみられ、ついには反グローバリズムの象徴であるトランプ氏がアメリカ大統領に就任しました。日本においても参政党や日本保守党など反グローバリズム政党が誕生して躍進していますし、つい先日には自民党総裁選挙においても右派である高市早苗氏が当選しています。

 ところで昨今オールドメディアV.S.ネットメディア(SNS等)の論争が選挙のたびに起こっていますが、何故オールドメディアはいつもグローバリスト側に立った論評を展開するのでしょうか?これは極めて簡単な理由でグローバリズムを支持するのは国際金融資本やGAFAMのような多国籍企業です。これら企業や関連団体は所有する莫大な資金でロビー活動をおこない政治家を買収しグローバル化推進の政策を実現させます。新聞やテレビなどのメディアも同様に買収され(直接的でなくてもスポンサーがこのような企業であるため)グローバル化が正しく移民政策は正しく移民政策に異を唱えるのは差別主義者だと報道します。現代はこのような露骨な世論誘導の嘘の部分がSNSなどの発信によって暴かれつつある状況であると考えられます。

 改めて世界の歴史を顧みると世界のグローバル化は15~16世紀の大航海時代に始まり18世紀後半の産業革命により世の中が資本主義化することにより著しく加速されました。安い労働力と安い原材料そして販売する場所を確保するために植民地獲得競争が起こり(帝国主義)それが第一次世界大戦へとつながっていきます。第一次世界大戦後もグローバリズムは継続されますが行き過ぎた資本主義競争が原因となり世界恐慌が起こります。

 グローバル経済の危険性を経験した各国は数か国単位のブロック経済を構築するようになります。自国の経済活動をブロック内で完結可能な広大な国土や植民地を持った欧米列強はともかく、植民地を持たず領土も狭く労働力も資源もない国々(日本・ドイツ・イタリアなど)は植民地の新規獲得を目指してファシズム的な傾向が強くなり自国第一主義(ナショナリズム)を唱えるようになります。これらナショナリズム国家による植民地争奪・領土拡大の軋轢から第二次世界大戦が勃発します。そしてナショナリズム国家の敗戦により世界は再びグローバリズム経済へと回帰することになるのです。

 ただし現在と大きく異なるのはまだ社会主義国家が理想郷であると考える知識人も少なくなく、資本主義と社会主義のハイブリッドのような政策を採用するイギリスのような高福祉国家も出現します。しかし競争のない資本主義というものは国民の労働意欲を低下させやがて衰退の道を辿ることになります。そこで生まれたのがサッチャー首相の提唱した新自由主義(市場至上主義の小さな政府)です。自己責任において自由競争を促すための規制緩和や国有企業の民営化が進みました。新自由主義の政治家としては他にレーガン(レーガノミクス)、コール(ユーロ導入)、日本では中曾根康弘(国鉄民営化)・小泉純一郎(郵政民営化)などがあげられます。

 そしてこのようなグローバリズム経済活動の先鋭化とともに最初に述べたグローバリズムの影の部分が可視化されてインターネット社会で拡散されることによりその反動として反グローバリズム的な動きが現在起きていると考えられます。

 つまり歴史は繰り返す・・・グローバリズムとナショナリズムというのは時計の振り子のような動きをするようです。であるとしたらこれからはどちら側に振れるのか?予想してみるのも面白いかもしれません。

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