日本性感染症学会学術大会に参加してきました。 (2019-11-30)

11月30日~12月1日に開催された「日本性感染症学会第32回学術大会」に参加して参りました。紅葉シーズンの京都で開催されたため京都の街は観光客でいっぱいでした。ホテル確保に苦労した参加者も少なくなかったと思います。

学会も今まででいちばん参加者が多かったのではないでしょうか。4会場同時進行のプログラムで特にシンポジウムの2会場はかなり大きく300~400人は余裕で収容できる規模でしたが、複数のテーマが同時進行にも関わらずほぼ満席といった盛況ぶりでした。

今回もそれぞれの性感染症をテーマにしたものだけではなく、実際の臨床現場で悩ましいケースが少なくないパートナーへの告知や治療の問題、中高生に対する性教育と感染症予防対策の実際的な取り組みや問題点などもシンポジウムのテーマとして取り上げら活発な議論がなされており、たいへん参考になりました。

例えば「学習指導要綱」に使用できる用語や内容に縛りがあるために、養護教諭や先生が現状に即した適切な内容の授業ができない、しかし「学習指導要綱」に縛られない話ができる専門医など外部講師を招聘する予算が確保できずに困っている現状とか、ネットやSNSに氾濫する誤った情報を鵜呑みにしてトラブルになる問題など、いろいろと考えさせられる内容の話題が議論されていました。

その他、最近問題となっている妊娠中の梅毒をはじめとする性感染症の増加と治療(妊娠時は陰性で妊娠中期以降にパートナーから感染するパターンで見逃される場合も少なくない)についてなども臨床現場では有用な情報でした。

ニュースでも頻繫に取り上げられているように、近年梅毒の患者数が爆発的に増加しています。また10代の女性のクラミジア罹患率(クラミジア抗原陽性率)も大都市だけでなく地方都市でも増加傾向にあります。性感染症は特別な疾患ではなく性行為を行えば誰でも罹患する可能性のある普通のもの(風邪などと同列に考えるべきもの)として捉える必要があります。日々の診療の現場でそのことを発信する必要性を改めて感じました。

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