緊急避妊薬のジェネリックが発売となりました (2019-03-19)

緊急避妊薬のノルレボ錠のジェネリックが本日発売されました。
レボノルゲストレル錠という名前の富士製薬工業の製品です。
製品の信頼性は先発薬と何ら差異はないと判断いたしましたので、
今後はジェネリックに変更することにいたしました。
これによって価格も14,000円→7,000円(税別)と半額になります。

モーニングアフターピルの取り扱いに関して、日本は諸外国と比べ
残念なことに大変遅れているという現状があります。
今回ジェネリック薬の追加で価格的には多少の改善はされましたが、
まだまだ敷居が低くなったとは言えないと考えています。

緊急避妊が必要なケースはパートナー間の通常の性行為に関しての
避妊失敗例だけではありません。
パートナー間であってもレイプに近い性行為の強要によるものや、
犯罪性のある事案なども少なからず含まれていると推測されます。
そのようなケースで全ての女性が警察に駆け込めるかと考えると、
なかなか困難な場合もあるのではないでしょうか。
せめて望まない妊娠だけは避けたいという需要もあると思います。

しかし日本では緊急避妊薬は医師の処方が必要な薬とされています。
緊急という名前とは裏腹に、診療時間内に受診しなければなりません。
例えば週末の夜に行為がなされた場合はどうでしょうか?
72時間以内しかもできるだけ速やかに服用しないと効果が得られない
状況で月曜日の外来まで待たなければいけない、しかも仕事や学校の
都合もあるでしょうし、そんな悩ましい状況は変わるべきと思います。

諸外国では緊急避妊薬は薬局で手軽に購入可能なケースが大半であり、
値段も安いだけではなく未成年の場合は無償で提供される国もあります。
日本も早い時期に一般薬として薬局で販売できるようになったらいいと
個人的には考えています。

もちろんそのためには性教育制度の充実を積極的に行う必要があります。
現在の生殖のメカニズムのみを教えておしまいの形骸化された教育では
このような薬を一般薬とすることに慎重論が出るのも当然と思います。
この点に関しても性感染症学会でもいろいろな性教育に携わる専門家の
先生の講演を拝聴しているのである程度深く理解しているつもりです。

性教育の話まで広げてしまうと長くなりすぎますので割愛しますが、
今回のジェネリック薬発売をきっかけに、緊急避妊薬の取り扱いが
現状に即したものに変わっていくことを期待しています。

←新しい記事へ ↑一覧へ 以前の記事へ→

薬院高橋皮ふ科クリニック 福岡市中央区薬院1-5-11 薬院ヒルズビル2F 092-737-1881