コロナ騒動について今思う事(その6) (2020-06-18)

 これから暫くは「新型コロナウイルス」との共存を余儀なくされる社会となって、様々な業種で適切な対応が求められるようになりました。私どものクリニックでは院内感染予防のために医療従事者だけでなく患者さんにもマスク着用を義務化させていただいています。また来院時の検温や問診で問題があると判断された場合は待合室の外でフェイスシールドを着用してお話を伺う形をとらせていただいております。受付には飛沫拡散を防ぐシールドも貼って室内の換気にも留意して診療をおこなっています。以前のスタイルに比べたら不便な点も多いですが可能な事はちゃんと対応するという姿勢は大切だと考えます。

 医療以外の業種、例えば「飲食店」も自粛要請が解除となってから営業を再開されたお店ではいろいろと工夫してできる限りの対応をされているのを見ると頭の下がる思いで食事をさせていただいています。例えば私が10年以上毎週通っている居酒屋さんはご夫婦で切り盛りされていますが、マスク着用・客が入れ替わる毎にテーブルとメニューをアルコール消毒・おしぼりは消毒済みの受け皿に開封せず提供・マドラーは共用せず各自専用とする・座席は満席にせずカウンターは両端のみ使用、さすがと感心し安心して利用させてもらっています。「調理場は暑くて正直マスクはたいへんだろう?」との問いかけにも「この程度の事ができない料理人は食材の管理や扱いも同様に配慮ができない人間だ」との返答、さすが元高級料亭で修業した料理人のプライドというものを感じました。

 ところがそこと真逆の対応をする「飲食店」もあり、私に中で今回のコロナ騒動は料理人の本性も炙り出すきっかけにもなっています。店名や場所は書きませんが、食通の間では割と有名で県外からのお客も多く、お値段もそこそこで1週間前に連絡を入れないと予約が難しい繁盛店でした。常連メインで大将との丁々発止のやり取りと目利きで仕入れた新鮮なネタを楽しむ店で、個人的に毎月1~2回を10年近く通っていました。しかし今回の騒動に対して、緊急事態宣言中も営業自粛せず客足が少ないと営業の電話やメールが来る始末。医者という職業で自粛期間中に食べに行ける訳がないという事すら配慮できないのかと悲しく思っていました。

 そして先日そのお店に久しぶりに出向く機会があったのですが、そこで決定的に決別を意識する出来事がありました。スタッフ全員がノーマスク・大声での会話・アルコール消毒皆無などなどの酷い状況に呆れて「せめて下を向いて調理する際は無言かマスク着用」と言って新品のマスクを差し出したのですが「これが私のスタイルで変えるつもりはない」と拒否されたのです。大人気ないとは思いましたが私は気分を害してそのまま店を出ました。「医者はビビリが多いから全然来なくなった」と言っていましたが、確かあのお店の常連客の半分は私と同業だったような・・・そんな無防備なお店に常連客だった医者は果たして戻ってくるでしょうか?正直厳しいと思います。

 今回は対照的な2つの飲食店について書きましたが、私は今までのブログに書いてきたように今回の「新型コロナウイルス」はそんなに恐るべき存在ではないと実際は思っています。ですが誰もまだその正体をつかめていない段階では、各自が可能な範囲でちゃんと対策を行って他人に迷惑をかけない配慮をする。特に各自の職域においては、プロフェッショナルとしてのプライドというものを、単なる技術だけでなく安全という形でもクライアントに提供するといった事が求められている。今回はそのことを身近な出来事を通して再認識させられました。

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